
北の大地の植物に、
未来の薬を探して。
「北海道の森には、まだ誰も調べていない植物がたくさんあります。その一つひとつに、人の健康を助ける力が眠っているかもしれない。私はそれを、確かめたいんです。」
問いのはじまり
高橋恵子教授の研究は、一杯のお茶から始まった。祖母が体調を崩したとき、いつも決まった野草を煎じて飲ませていた——その光景が、幼い日の記憶に残っていた。「あれは本当に効いていたのか。効いていたなら、何が効いていたのか」。素朴な問いが、やがて天然物化学という一生の道になった。
北海道医療大学に着任してからは、道内に自生する植物に目を向けた。厳しい寒暖差の中で生き抜く植物は、しばしば他の地域にはない特異な成分を蓄える。「この土地の環境そのものが、化合物の宝庫なんです」。

基礎から、社会実装へ
高橋研が近年注目するのは、炎症を抑える働きをもつ化合物だ。慢性的な炎症は、生活習慣病から加齢まで、幅広い不調の背景にあると考えられている。「もし食品や医薬品のかたちで、日々の炎症をやさしく抑えられたら。予防の選択肢が一つ増えます」。
基礎研究の面白さと同時に、高橋教授は「社会に届くこと」にこだわる。成分を見つけて終わりではなく、企業と組み、安全性や機能性を検証し、実際の製品へとつなげていく。すでに道内の食品メーカーとの共同研究も動き始めている。
「論文になった瞬間より、誰かの毎日にそっと役立った瞬間の方が、ずっとうれしい。」

次の世代へ
研究室には、学部生から大学院生まで多様な学生が集う。「失敗していいから、まず自分の手で確かめてごらん、といつも言っています。予想通りにいかないことの中にこそ、本当の発見がある」。
高橋教授は、研究の面白さを社会にも開いていきたいと語る。「大学の研究は、閉じたものではありません。企業の方も、地域の方も、気軽にのぞきに来てほしい。一緒に考える人が増えるほど、研究は前に進みます」。
18
指導した院生(累計)
40+
査読付き論文
3
進行中の共同研究
※数値はプロトタイプ用のサンプルです
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